乳幼児の発達と睡眠 ~夜の睡眠とおひるね~

●第1部 乳幼児の生体リズムと睡眠
1章 乳幼児期における睡眠の発達
2章 現代日本の睡眠事情

●第2部 障害児の発達と睡眠
1章 どの子も可能な限り発達を保障する保育実践例
2章 障害や育ちの弱さがある乳幼児の発達課題と睡眠について
3章 発達の保障は家庭との連携のなかで

●保育士さんからの睡眠に関するQ&A

●巻末付録
障害や育ちに弱さや遅れがある子の未発達な状態と課題
✔チェックリスト
命を守り育てる脳の働き✔チェックリスト

筆者:杉田義郎 大阪大学名誉教授/精神科医師
筆者:相馬範子  子ども子育て支援複合施設「なかまの杜」代表兼「ろぜっと保育園」前園長

頒価:1,800円+送料
発行:2024年11月
サイズ:A5 148ページ

 

杉田 義郎 (すぎた よしろう)
精神科医師、医学博士。1948年生まれ。大阪大学医学部卒業、専門は、精神医学、睡眠医学。大阪大学医学部精神医学教室助手、大阪大学健康体育部教授(精神健康医学)、 大阪大学保健センター教授、大阪大学医学部附属病院睡眠医療センター副センター長を経て、現在は、大阪大学名誉教授。
主な編著『こころと眠りの健康』(メデイカルレビュー社)、共著『スポーツ精神医学』(診断と治療社)、『睡眠学』(朝倉書店)、『「精神疾患における睡眠障害の対応と治療」専門医のための精神科臨床リュミエール8』(中山書店)、『学生と健康―若者のためのヘルスリテラシー』(南江堂)、ほか。

相馬 範子 (そうま のりこ)
1958年生まれ。1985年、障碍児通園施設「つむぎ子ども教室」を主宰。1988年「つむぎ子育て研究所」を設立。
2004年「ムーミン保育園」園長、2008年「あそびの杜保育園」園長、2015年「ろぜっと保育園」園長を経て2024年より現職、子ども子育て支援複合施設「なかまの杜」代表を務める。
子どもの「生体の生活リズム」と発達に関する科学的理論を基に、発達の遅れや障害がある子どもたちの相談と講演活動などを行なう。
著書に、『生活リズムでいきいき脳を育てる: 子育ての科学98のポイント』(合同出版2009年)、『障害児が変わる!脳・からだ・こころを目覚めさせる科学的発達支援』(合同出版2018年)、ほか。

お寄せいただいた感想>

 人類はこれまで気が遠くなるほど長い700万年の時を生き抜いてきました。その間子育ては一度も途切れることなく行われ、その方法が親世代から子世代へと継承されてきました。子育ての方法は長い年月の中で合目的で無駄がないものに改良されてきたはずです。しかし現在、子育てに悩むお母さんたちの助けとなっているものとして手元のスマートフォンを使って出てきた情報やSNSで紹介される子育てグッズが珍重されています。それらは一世代前に行われていた子育ての方法とは随分かけ離れているものです。ひょっとしたら脈々と受け継がれてきた子育てのワザは途絶えてしまったのでしょうか?私は本書を拝読してこの本の中に紹介されている保育が我々の世代が引き継ぐべき子育てのワザだと考えます。
 本書では子どもの成長の屋台骨ともいえる睡眠について睡眠医学、特に子どもの脳の発育と睡眠の関係について睡眠医学の専門家である精神科医の杉田先生より情報提供がなされたのちに、子どもの成長・発達を最大限に引き出すための保育についての理論と実践例が経験豊富な子育ての実践者である相馬先生により丁寧に解説されています。脳は大きく分けて3層構造になっており中心の部分から成長していきます。心も身体も健康に育つためには脳の中でも中心に位置する脳幹や大脳辺縁系などの『自らの生命を守り育てる脳』がうまく育つ必要があり、睡眠と覚醒リズムを含む生体リズムがしっかりと形成されることで達成されます。本著では睡眠、運動、あそび、食事などの保育活動全般の中での子どもとの関わり方がいずれも科学的な裏付けをもった視点で紹介されているので保育と直接的なかかわりがない他職種の方にも受け入れられやすいものとなっています。たとえ発達上になんらかの障害を抱えていた子どもであったとしても生体リズムを整えることで身体と心の状態が安定し実践される保育の効果が発揮されやすく担当する医師がびっくりするほどの発育を目にすることもあるようです。私たちの世代の義務としてきちんとした根拠に基づいた子育ての手法をわかりやすく整備して次世代にきちんと伝えていくことが重要であると感じました。(歯科医師)