新医協は2026年5月8日に「殺傷武器輸出「原則解禁」、閣議決定の撤廃を求める」声明を出しました。
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[声明]

殺傷武器輸出「原則解禁」、閣議決定の撤廃を求める

2026年5月8日
新医協(新日本医師協会)常任理事会

 高市早苗内閣は、4月21日、防衛装備移転三原則の改定を閣議決定しました。防衛装備品とは武器を意味して、輸出できる目的を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」に限っていた「5類型」、殺傷能力のある武器の輸出に制限をかける考えを撤廃しました。
 戦闘状態にある国に対し、たとえ同盟国支援の名目であっても武器を提供することは、「支援する」という強い意思表示となり、「紛争への関与・加担」と見なされます。それは対立構造を一層際立たせ、緊張を高め、紛争当事国の摩擦に巻き込まれる危険性を高めます。さらに、提供された武器の使用によって軍事衝突を激化させ、人的被害の拡大を招くおそれがあります。
 また、「5類型」の撤廃により、「戦車やミサイルそのもの」だけでなく、それらの性能を大きく向上させる「電子装備・誘導装置・統合システム」の輸出が現実的に拡大することも、今回の制度改定の本質的な変化のひとつです。
 世界でもトップクラスの電子技術を持つ日本の大手産業、第2次世界大戦では造船・重工業が国家プロジェクトとして推進され、新規参入が困難な歴史ある巨大産業があります。これらの企業の多くが装備品の製造に関与しているため、量産体制を構築しやすく、今回の改定は国内の軍需産業の利益に直結する可能性があります。さらに誘導装置・電子装備・システムといった「武器の頭脳」に関する研究開発には、大学や民間企業が関与し、軍事研究の拡大と軍拡の条件を広げることが懸念されます。
 武器提供の増加と軍需産業の利益拡大の一方で、国家予算が軍事分野に偏重し、社会保障や実生活が圧迫されるリスクは、理論的にも歴史的にも指摘されてきました。これは「軍事化のスパイラル」として議論されいる問題です。

 一方で、非軍事の安全保障は、「人を守る・環境を守る」技術として発展してきました。災害対応技術や、宇宙・衛星技術によっては気象観測、通信インフラ、海洋監視、環境保全などの分野は、その代表例です。また、福島第一原発における燃料デブリ処理、汚染水対策、廃炉技術の開発といった分野は、憲法9条の理念と矛盾せず、国・企業・研究者が参加できるとともに、世界中にも求められる価値ある産業です。
 紛争や戦争は、巨大な組織が関与する「巨大プロジェクト」となります。それは単なる軍事の問題にとどまらず、武器弾薬・燃料・補給路・資金に加え、食料、通信、医療など社会全体の資源を必要とします。ひとたび関与すれば、容易にそこから離脱できないことは、歴史が示しているとおりです。

 以上の理由により、防衛装備移転三原則の改定の閣議決定の撤廃を強く求めます。