新医協は2023年3月2日にロシア軍事侵攻に関する抗議声明を出しました。(PDF版はこちらから)

[抗議声明]

ロシアによる非人道的な軍事侵攻に強く抗議の意を表明し、即時停戦、即時撤退を求める
−2023年2月23日の国連総会決議によせて−

2023年3月2日
新医協(新日本医師協会)常任理事会

 ロシアによるウクライナに対する不当な軍事侵攻が開始されてから1年が経過した。ウクライナはロシアによって東部4州の相当部分が占拠されている上、多大な人的・物理的被害を被っている。にもかかわらず、2023年2月22日、ロシアのプーチン大統領は演説の中で、軍事侵攻の責任は西側諸国にあるとし、自ら始めた戦争を正当化した。さらに引き続き、軍事侵攻の継続を表明した。合わせて新START(新戦略兵器削減条約)の履行停止表明まで行い、核兵器使用に関する懸念が一層、強まっている。
 ウクライナにおいては、国連の推計によれば、子どもを含む市民8000人が死亡(不当占拠されている地域の被害者数が算定されておらず、実際ははるかに上回ると言われている)し、また住宅や学校、病院を含む民間施設の被害は甚大な規模に及んでいる。ロシアに強制的に移送された人びと、国外に避難したウクライナ国民は膨大な数に上る。極寒の冬、ロシア軍が故意に発電所や水道施設などをミサイルで攻撃し、電気や水などの生活の基盤が失われた結果、高齢者のみならず、全てのウクライナ国民の生存が危うくされている。
 私たち、新医協はこうしたロシアによる非人道的な軍事侵攻に強く抗議の意を表明し、即時停戦、即時撤退を求めるものである。
 2023年2月23日、国連総会は緊急特別会合を開き、「ウクライナでの包括的、公正かつ永続的な平和」の必要性を強調する決議を141カ国の賛成で採択した。決議は、「加盟国や国際機関に対し、外交的取り組みへの支持強化を求める」ことや、「戦争による食料安保、エネルギー、核セキュリティー・原子力安全などに関する世界への影響に対処するための協力を要請する」ことなどにも触れている。事態におけるロシアの責任は明らかではあるが、同時に軍事対軍事ではない、包摂的な平和的解決に向けたあらゆる努力が求められているのである。
 憲法9条に示されている、非戦の誓いを有するはずの日本では、岸田内閣の下、ロシアの軍事侵攻を理由の一つに挙げながら、大軍拡の道を歩まされようとしている。9条をないがしろにし、軍事化路線を突き進むこうした動きは、戦争を終わらせようとする国連決議とその精神に反するものである。
 新医協は岸田内閣の大軍拡路線に強く反対し、世界の戦争反対・平和実現の世論に連帯していくことを表明する。